もう昨年末のお話になりますが、
私は久しぶりに大好きな方にお目にかかってお話をする機会がありました。
30代の半ばまではヒモのような生活をされ、
現在は50代も半ばを過ぎ、心理学者をされていらっしゃいます。
かれこれ数年来、私は彼のファンなのですが、
ゆっくりと座って話をしたのは随分と久しぶりのことでした。
その席で私が「人間っていったい何なんですかねぇ?」という言葉をふと漏らすと
その彼は私に一冊の本を手渡して下さいました。
本日は、その一冊の本をご紹介したいと思います。
福岡伸一著 「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書
本日、天神の
ジュンク堂書店を訪れて知りましたがこの本は昨年の
ベストセラーであり、なおサントリー学芸賞だかその様なものを受賞した本です。
ということで、この本をお読みになったことのある方は多いのかもしれませんが
私なりに感想を申し上げたいと思います。
この本の著者である福岡伸一さんは1959年生まれで、京都大学卒、米国
ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などを経て
現在は青山学院大学の教授をされていらっしゃる方で専攻は分子生物学だそうです。
この様な経歴を拝見して私が理解できるのは彼がとても頭が良い、ということ
それだけなんですが、そんな彼が書いた本は何とも解りやすく書かれています。
特に専門用語が解りやすく本文中に解説されているのですが、例えば彼曰く
エントロピーとは「乱雑さ(ランダムさ)を表す尺度である。すべての物理学的プロセスは、物質の拡散が均一なランダム状態に達するように、エントロピー最大の方向へ働き、そこに達して終わる。これをエントロピー最大の法則と呼ぶ。」と
この様にかくもシンプルに説明されているのです。
本文では前後の文脈と照らして読み進めていると、エントロピー最大の状態が
まるでアニメーションのように頭の中に描かれていきます。
他にも
「系」に関する説明なども理解し易く書かれており、
中学生未満の知識しか持ち合わせていない私のようなものでも
ほとんど知識不足を感じること無く本書を読み進めていくことができます。
ところで本書の内容ですが、生物とは何なのか、ということを定義することを
目指して福岡さんの過去のエピソードを踏まえつつ文章は展開されていきます。
その一つに福岡さんがNYはマンハッタンに在りますロックフェラー大学にて
研究をしていた時代のことが長く書かれているのですが、その文章が私は好きでした。
街の描写が、特に好きだったのですがNYにいらしたことのある皆様は
この文章をご覧になってどのように感じられるのか・・・
そんなこんなで文章にしろ、内容にしろ私は結構この本が好きでした。
しばらく寒い日が続きそうですが、日がな一日、休日を潰して読んでも損はないと思います。